貝の事について
戦場で吹き鳴らす貝のことを「迎貝(むかえがい)」といって、七回、五回、三回のいずれかでいったん吹き切り、その音色の組み合わせによって、幾つかの意味をあらわす。
「詰貝(つめがい)」というのは、敵味方が、まさにこれから一戦を取り結ぶというときに、戦場で敵軍との間合いを詰めるときに吹く貝のことである。
「ヨセ貝(寄貝)」というのは、戦場に展開している味方の軍団の中から、急きょ人数を集めるときに吹く貝のことである。吹き方は、ヒイホウ、ヒイホウ、と陰陽を交互に吹き合わせながら二度、五度、三度と吹く。二度、五度、三度と3回繰り返すことから、この吹き方を「三重」と呼んでいる。
「揚貝(あげがい)」は、五ユリ五音を静かに拍子に合わせて吹く。
「用心の貝」は、亥の刻(午後9時〜11時)・子の刻(午後11時〜午前1時)・丑の刻(午前1時〜3時)の三刻(6時間)に陣中で吹く。荒々しくゆらしながら、「四・二・三」と吹くのである。出陣するときにも同じ吹き方をするが、こちらは「宿直貝(とのいがい)」といい、ともに「九字(臨兵闘者開陣裂在前)」を切るのと同じ意味がある。ただし、戦場から帰陣したときには、「三・五・七」と吹く。
貝の吹き方の基本形は次の通りである。
ヒイヒイヒイヒイヒイヒイヒイ、と吹くのを「七ユリ」という。
ホウホウホウホウホウホウホウ、と吹くのを「七コエ」という。
ヒイヒイヒイヒイヒイ、と吹くのを「五ユリ」という。
ホウホウホウホウホウ、と吹くのを「五コエ」という。
ヒイヒイヒイ、と吹くのを「三ユリ」という。
ホウホウホウ、と吹くのを「三コエ」という。
これらの音を組み合わせて「七五三」とするのである。
嘉永三【康戌】年
三月二十七日 貴純 写す